duckblueの文化的生活

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KPOPを主に、音楽、書籍、映画etc... 文化的だと思われる色々について綴る、女子大生のブログ。

【読書感想文】 筒井康隆 「旅のラゴス」 を読んで

 

表紙絵の美しさから、ずっと気になっていたこの本。

タイトルと表紙絵って、本を選ぶ重要な決め手ですよね。

どこの世界かわからないけど美しい景色と、私が大好きな「旅」という言葉。

そろそろ読んでみよう、と読み始めたら、面白すぎてノンストップで読み終わった。

 

旅のラゴス (新潮文庫)

旅のラゴス (新潮文庫)

 

 

初版は平成6年らしい。ずいぶん昔、私が生まれる前だ。

 

この話は、ラゴスという男が、ある目的の為に旅を続ける、その一生を描いたものだ。

時代は、(おそらく)現代の技術が発達したときから2000年以上前で、

突如文明を失った代償として、人々には様々な特殊能力(転移、読心、予知、動物との

同化など)が備わっている。

 

話の流れとしては、ある町にたどり着き、しばらく過ごした後に、また次の町へ…とな

っている。それぞれの町が魅力的で、移動するたびに楽しくなる。

この感覚は、スマホゲームの、アナザーエデンによく似ていると思った。町ごとに雰囲

気が全然違って、面白い。特に一番最初のシュミロッカ平原は、暖かくて、うららかな

風景が思い浮かんで綺麗だし、奴隷にされる前のバドスの町は、ごつごつしていて、穴

を掘って卵を入れている、というちょっと異様な風景で、印象的だった。

 

ラゴスの目的は、無くなってしまった文明についての本が全ておさまっている、ポロと

いう町に行くことだった。そこで様々な出来事があって、なんか最後は王国とかになっ

ちゃうのだが、ここでのポロの変わりようが興味深かった。

ラゴスが本から得た情報のなかで、彼の世界に生かせそうなものは実践していくのだが

どんどん経済が成長したり、強固な防壁ができたり…と、国が発展するってこういう事

かな、と少し分かった気がした。

 

読みながら感じたことは、ずいぶん淡々とした書き方だなあ、ということ。

最初に奴隷になったときや、ポロで過ごしたときとか、「ここで〇年過ぎた。」みたい

に、さらっとけっこうな年月が経っている。

それだけじゃなくて、画家の死や、壁抜け少年の事など、続きが気になるものも、あっ

さり終わって、次の町へ行ってしまう。

唯一ラゴスの感動が大きく伝わってきた箇所は、ポロにて本を読んでいるとき。

 

故郷に帰ったラゴスは、今までと違って、また厄介な俗世界と継続的に関わることにな

るけど、最終的にまた旅に出る。

この最後のシーンが意味深で、結局どうなったんだろう?

デーデに出会ったのは、春が似合う高原。会いに行こうとしたのは、冬の氷の地。

 

あえて結末は、自分の中で作らなくていいと思う。美しい世界でずっと旅を続けたラゴ

スは、今もまだ旅の途中かもしれないから。